直感は正しい?間違っている? 直感との向き合い方を考える
TEDというサイトで下記の動画を観たのでそれについて少し記述しようと思う
3 lessons on decision-making from a poker champion | Liv Boeree
動画の概要を3行で
・運は自身の能力を見誤る原因となる。特に少ない経験で見誤りやすい
・事象の確率を数値化することで自身の状況を正しく理解できる
・直感は無視できない、しかし過信してはいけない
ポーカーという運の要素が非常に強い世界で結果を残しているだけあって
非常に説得力を感じた。ので、少し調べてみた(ググっただけ)
すると、直感に関する記事が大量にみられたのでいくつか取り上げよう。
■直感的な戦略決定を行う脳のメカニズムを解明
https://www.riken.jp/press/2015/20150421_1/
理研と富士通が共同研究で棋士の直感のメカニズムを解明するという
研究のプレスリリースだ。
一見するとTEDの主張と逆転しているようだが、Liv Boereeは
"経験の少ない事象で発生した直感は信用ならない"
と述べている。
それに対して棋士はほとんどが幼少から棋譜を眺め、対戦を続けてきた。
すなわち非常に豊富な経験に裏付けられた、"無視すべきでない直感"だと
いえる。
しかも81マス40コマのみで、想定外のリスクが排除された環境である。
一方でこういった記事、というか論文も見つけた。
■Creativity: Intuitive processing outperforms deliberative processing in creative idea selection
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S002210311730118X
「クリエイティブなアイデアは熟考よりも直感が優れている」
簡単に言うと、直感的に提案したアイディアのほうが熟考したアイディアよりも
専門家からクリエイティブだと評価された、という内容の論文だ。
そもそも専門家が言えばそれがクリエイティブなのか、とか、
被験者の数が妥当なのかなど色々あるのだが、一旦それについては議論しない。
これは先ほどの将棋と違い、経験が少ない"過信してはいけない直感"だろう。
ではなぜそれらが評価されたのか?
推測するに、おそらく"実現性が低い、希望的観測を含んだアイディア"だった
のではないだろうか。
それらは、実現性を正しく理解した専門家たちには無意識に思考の外に
してしまったアイディアだったが、専門家の豊富な知識で思考すれば
非常に良いアイディアだったのではいだろうか。
そして熟考群では直感的なアイディアの実現性を自分なりに評価して、
無知ゆえにできないと判断し、捨ててしまったのではないだろうか。
さてさて、これらをすべて踏まえて総括すると、
直感への向き合い方が見えてくる。
私たちが直感を得たとき、まずすべきことは直感が発生した事象に対して
十分な経験を持っているか、ということだ。
もし豊富な経験があるのであれば、その直感を信じ、裏付けるために動けばいい。
そして経験がない場合、すべきことは捨てることではない。
経験がない場合、その直感を正しく評価できる経験者、専門家の意見を聞くことだ。
経験が少ない以上、直感は信頼できない。
しかし、それを無視するのではなく、客観的に評価する手段を考えることが
重要なのである。
「直感」というのは基本的に無意識化で取得した情報をもとに得られるものであり、
それの原因を理解するのは困難である。TEDではその解決として”数値化”が
挙げられていたが、経験が少ないとそれすらできないこともあるだろう。
そうしたときに、直感を冷静に評価する手段を持つことで常に正しく
直感と向き合えるのではないだろうか。